ごあいさつ
口唇口蓋裂:病気の分類と症状
1.口唇口蓋裂にはどんな種類があるのですか?
くちびるの裂を口唇裂(こうしんれつ)、歯ぐきの裂を顎裂(がくれつ)、口蓋の裂を口蓋裂(こうがいれつ)と呼びます。いくつかの裂が同時に生じることはよくあり、くちびると歯ぐきが割れた状態を唇顎裂(しんがくれつ)、くちびると歯ぐきと口蓋が割れた状態を唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)といいます。
口唇裂と顎裂には片側だけの場合と両側の場合があります。口唇裂は人中(にんちゅう:うわくちびるの真ん中にあるくぼみ)の部分で左右どちらが割れるかにより左の口唇裂と右の口唇裂、もしくは両側の口唇裂といいます。顎裂も同じです。
右唇顎裂
左唇顎口蓋裂
両側唇顎口蓋裂
口蓋裂には基本的に左右はありません。また、口蓋裂と同じ言葉の問題を生じる病気に、粘膜下口蓋裂と先天性鼻咽腔閉鎖不全という、病気があります。
口唇口蓋裂:病気の分類と症状
2.口唇裂の治療はなぜ必要なのですか?
口唇裂のお子さんが抱える問題はその形態にあります。形の問題は大きく分けて2つあります。くちびるの形と鼻の形です。口唇裂の手術はくちびると鼻の形を良くする手術とお考えください。
口唇の非対称
唇裂側の鼻が低く,穴の向きがずれている
口唇口蓋裂:病気の分類と症状
3.顎裂の治療はなぜ必要なのですか?
歯ぐきの骨は歯が並ぶための土台です。土台がないと歯は生えることができません。顎裂の治療は、歯並びを良くして、噛む機能を良くすると同時に、歯の見た目を良くすることを目標にしています。矯正治療とあわせて行うことで、機能に優れた、きれいな歯並びを作ることができるようになっています。
左の顎裂があります。歯茎にスリットが入っています。この穴は鼻腔に通じている事が多いです。
口唇口蓋裂:病気の分類と症状
4.口蓋裂の治療はなぜ必要なのですか?
口蓋は口の中と鼻の中を隔てる機能をしています。人間は息をするときには鼻から口を通して息をしますが、食べ物を食べるときに鼻から逆流しないように口と鼻の間を閉めます。 言葉を喋るときも、口と鼻の間を閉じて口の中に息をためることが必要です。口蓋裂のお子さんでは口蓋の運動機能が不足し、裂による隙間もあるために、口と鼻の間をうまく閉められません。口蓋裂の手術は上手に食べたり、喋ったりすることができるように、口と鼻の間の開け閉めの機能を良くする手術です。
軟口蓋の挙上の様子を表した図です。右端の口蓋裂児では鼻腔に息が漏れてしまい正しい発音ができません。